実際、ゲームをやる前よりも、ゲームをやったあとの方が友達が増えたという実感を持つ人が多く、コミュニケーション能力にも、間違いなく活かされているのです。
マルチオンラインゲームだけではなく、ロールプレイングゲームでも、実はいろいろなキャラクターが出てきて、それらのキャラクターとのストーリーの中に入っていかなくてはいけません。
しかも、そのキャラクターの気持ちを汲んでみたり、状況をうまく想像する力がないと、ゲームをその先に進められなくなったりします。バーチャルなキャラクターとの「対話」も、ゲームの重要な要素なのです。
つまり、そうしたゲーム内のコミュニケーションを通して、人の心理状況を素早くうまく理解して、言葉のやり取りができるようなトレーニングができているのです。
また、「楽しいから、やり過ぎてしまう。でも、やめたい」「やめないと叱られる」といった、自分を抑制する力もついてくるということも研究でわかってきています。
心理学の研究が進み、子どもの感情や社会性の発達が明らかになるにつれて、認知、感情、社会性は、ゲームでも養えることが、科学的にも実証されてきています。
しかもこれは子どもだけではなく、大人についても同様です。ゲームをすることで、コミュニケーション力に自信がついたり、対人折衝能力が上がったりと、良い影響がいくつも報告されています。
つまり、ゲームは日常のコミュニケーションで養うべきスキルを養ってくれるのです。「ゲームは害悪」と断罪して無理に遠ざける必要は、いっさいないのです。
もちろん、こういう話をしたからといって、外遊びが重要でないわけではありません。
スマホゲームも大事な能力を養うからといって、それだけやっていればいい、という話ではありません。逆に、「遊び」vs.「ゲーム」の図式で、遊びの方が良いからと、ゲームをゼロにする必要もありません。
ゲームでも、遊びと同じように培えるところは培えるし、外遊びで培えるところは外遊びで培えればいい。子どもにゲームをやらせること自体に、罪の意識を感じる必要はありません。大事なのはやはり、バランスなのです。