さらには、
「銀行に行く途中、南海電車のホームに3千万円の入った紙袋を置き忘れた。駅の忘れ物係に保管されていて、取りに行くことができた。新聞報道されたので、税務対策が必要になり、あわてて(霊感商法関連の)会社の半年分の売り上げと帳簿を書き換えた」
などと「不法行為」があったことも語っている。
また、普段から睡眠時間が3~4時間、月2万円ほどの小遣い程度で過酷な労働を強制させられていたとの記述もある。
資金集めが過酷で、Aさんが旧統一教会にいた12年間で、4人が自殺や過労で亡くなったという。
「飛び降り自殺、断食中の死」
などがあったと証言している。
「人の命が20万円……」
過労死で信者のTさんが亡くなったときのことだ。表向きは霊感商法の会社の社員だったという。両親がやって来るときに、教団の幹部はAさんにこんなことを言ったという。
「『給料がゼロだったとは言えない。社内預金を20万円だけ預かっているということにしよう』と言いました。人の命が20万円なのかと思いました」
筆者は、Aさんの家を訪ねたことがある。高齢のため取材に答えることは難しく、代わって対応してくれた親族は、
「今はもう旧統一教会とは関係がないです。裁判で話したことは本当だと言っています。表では宗教のふりをして、裏ではカネのことばかりだそうです。旧統一教会が長く続けてこられたのは、選挙とカネで政治家を応援し、すり寄ったからとのことです。『カネを渡した』と(Aさんが)聞いた政治家は、もう亡くなっているそうです」
などと話してくれた。
旧統一教会は解散請求に、「偏った情報に基づいて、日本政府がこのような重大な決断を下したことは痛恨の極み」などと反論しているという。
だが、ある自民党幹部は、
「これまでの文部科学省の手続きやメディアのニュースなどからも、旧統一教会が反社会的な宗教団体であることは間違いない。旧統一教会と関係を築いてきた自民党が間違いで、解散請求は当然だろう。岸田首相も覚悟を決めているようだ」
との見方を示す。