環境よりも人間側の問題
「人間を怖がらない犬なら、テーマパークのような人混みだろうが、しっぽを振ってご主人についていくものです。バイデン大統領の犬がどのように生活していたのかは分かりませんが、2匹とも不幸な事態が続いてしまったのは、環境というより、周りの人間側の問題だと思います」
犬の攻撃行動を改善するうえで、高橋さんが何よりも重視するのが、「心のケア」だ。ホワイトハウスでは、コマンダーをひもでつないだり、訓練したりという取り組みが行われてきたというが、「いくら訓練しても、人を怖いと思っている限り、その結果であるかみつきは治らない」というのが、高橋さんの見立てだ。
人間への恐怖心を癒やすために最も有効なのは、エサをあげたり散歩をしたりと、犬にとっての直接的なメリットを根気強く提供し続けること。見慣れない人を怖がってしまうのであれば、家族以外のスタッフも代わる代わる世話をして、できるだけ多くの人が日常的に関わることが大切だという。
そうして心を開いてくれるようになったら、はじめて主従関係を結ぶステップに移行する。コマンダーがバイデン大統領の妻・ジル氏の制止を振り切って職員にかみついたケースが報じられていることから、大統領夫妻はコマンダーと主従関係を結べておらず、コントロールできていなかったと推測される。