金融庁のNISA担当者が丁寧に回答してくれた(撮影/編集部・中島晶子)
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2024年からはじまる「新しいNISA」に関して、公式資料に書かれていない「気になる疑問」や「新NISAの裏側」を取り上げる。金融庁がていねいに回答してくれた。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。

【図表】新NISAのつみたて投資枠対象投信の条件はこちら

本記事は「疑問」「回答」「★本誌補足説明」の構成でお送りする。

(1)新NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠がある。「成長投資枠だけ取り扱う」「つみたて投資枠だけ取り扱う」という金融機関はあるのか?

「つみたて投資枠の対象商品を取り扱っていない、またはつみたて投資未対応の金融機関はありうるため、結果として成長投資枠しか利用できないケースもある。

 その場合は成長投資枠の非課税保有限度額の上限(1200万円)までしか投資できない。

 ご自身のニーズをよく検討のうえ、金融機関を選んでいただきたい」(金融庁)

★現行のNISAでも、一般NISAしか利用できない金融機関が存在する。特につみたて投資枠は低コストの投資信託(以下、投信)がメインとなり、金融機関的には儲からないため、積極的にシステム投資をしない場合もあるだろう。

新NISA×海外ETF

(2)「新NISAで海外ETF(上場投信)が買える」と公式に記載された書類が見当たらない。本当に買えるのか?

「成長投資枠で海外ETFに投資することを禁じてはいない。

 新NISAの『NGルール』に抵触していないかどうか、それぞれの金融機関の責任において精査のうえで販売される」(金融庁)

★新NISAの成長投資枠で海外ETFを取り扱うのは主要ネット証券がメインとなるだろう。

 各社が「ヘッジ目的以外のデリバティブを使っていない」「信託期間20年以上」「毎月分配型ではない」といった条件を満たすかを確かめたうえで、「新NISA対象」と各社で表示されるはずだ。

 各社で取り扱う海外ETFは異なるが、人気の「バンガード・S&P500ETF(VOO)」や全世界株式の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」などは、どのネット証券でも買えるだろう。

 なお、つみたてNISAの対象に海外ETF「iシェアーズ・コア S&P500ETF」が追加された(販売会社不明)。現状、主要ネット証券ではつみたてられない(自動つみたてでなく普通に投資することはできる)。

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金融機関変更でつみたてNISAはストップする?