神奈川県出身 日本医科大学卒
東千葉メディカルセンター 総合診療科 田村弘樹医師

 田村弘樹医師は、東金市にある、東千葉メディカルセンターに勤める内科医(総合診療医)だ。神奈川県出身で、日本医科大学に入学後、千葉県の地域枠を受けた。現在は、千葉県医師キャリアサポーターとして、地域枠の医学部生の相談も受けている。田村医師が地域枠を選んだのは、金銭的な理由が大きかったという。

「器質的な要因だけでなく、心理社会的な要因も含めて患者さんを診察できるのが総合診療の魅力」と田村医師は話す。 写真/高野楓菜(写真映像部)
「器質的な要因だけでなく、心理社会的な要因も含めて患者さんを診察できるのが総合診療の魅力」と田村医師は話す。 写真/高野楓菜(写真映像部)

「高校2年の夏に、親に医学部を受験したいと伝えたところ、金銭的理由から反対されました。親は会社員であったため、医学部――特に私立大医学部の授業料を支払うことは困難でした。そこで奨学金の貸与を視野に入れて医学部を受験することにしました。1浪しましたが、日本医科大学に合格。入学後、当時はまだ手挙げ方式だった地域枠に応募しました。複数の地域枠の中から千葉県を選んだのは、研修施設が充実しており、出身地に近いことなどが理由です」

 だが、応募した当時には不安があったと田村医師は話す。

「当時から千葉県の地域枠制度は充実していましたが、実際に地域医療に携わるイメージは難しく、漠然とした心もとなさも感じていました。しかし、現在はより具体的にキャリアコーディネーターの先輩医師とキャリアプランを作成できたり、地域の病院見学バスツアーなどがあったりと、実際に働くイメージがしやすい制度に進化しており、『あの時、応募しておいてよかった!』と思っています」

 田村医師は、もともと産婦人科の専攻を希望していた。だが、現在の専攻は内科(総合診療科)だ。

「産婦人科医になるからには、女性の健康のさまざまな相談にのれる『女性の総合診療医』になりたいと考えていました。そのためには総合診療の力をつけることが必要だと考え、初期研修中の2年間のうち、半年近くを総合診療研修にあてました」

田村医師の勤める東千葉メディカルセンターは病床数314の中核病院。ドラマの撮影にもよく使われている。 写真/高野楓菜(写真映像部)
田村医師の勤める東千葉メディカルセンターは病床数314の中核病院。ドラマの撮影にもよく使われている。 写真/高野楓菜(写真映像部)

 そのなかで印象深かったのが、千葉大学医学部附属病院の総合診療科だった。検査をしても病気の原因がわからずに長年苦しんでいる患者を、医療面接(問診)と身体診察の力だけで診断していく総合診療医の姿を見て、田村医師は目指す道を決めた。

次のページ 勤務先の選択には、田村医師自らの意向も反映