東千葉メディカルセンター 総合診療科 田村弘樹医師 写真/高野楓菜(写真映像部)
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地域医療に従事する医師の養成を目的とした入試の選抜枠「地域枠」の利用者は開始以降、年々増加している。地域枠の医学部生は、卒業後どのようにキャリアを積んでいるのだろう。好評発売中の週刊朝日ムック『医学部に入る2024』では、千葉県地域枠出身の医師2人に聞いた。前編・後編の2回に分けてお届けする。

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「地域枠」は、2008年から始まった医学部の定員増の取り組みの一つだ。地域における医師の不足や偏在の解消を主な目的としている。

 地域枠を希望する場合は、入試の際に大学や都道府県ごとに設けられた選抜枠の試験を受けて、医学部に入学する必要がある。地域枠の多くは、奨学金の貸与を伴っており、医学部卒業直後から9年以上、所定の地域や診療科に従事することで、奨学金の返還を免除しているケースも多い。学生と、医師不足や偏在に悩む地域、双方にメリットがあるからか地域枠の定員数は年々増加し、現在は医学部生の約5人に1人が地域枠だ。都道府県によっては、個別に細かい条件が設定されていることもある。

入学後の応募も可能 千葉県の地域枠

 千葉県では、将来県内で医師として働くことを前提とした修学資金貸付制度があり、医学部定員増と連動した地域枠(入試時の選抜)のほかに、県独自の「一般枠」と称する貸付コース(入学後に応募)を設けている。対象は7大学で、千葉県出身者でなくとも選考を受けることができる。このほかにも、県外の大学に進学した千葉県出身者が応募できるコース(入学後に応募)も用意され、医学部生の幅広い選択を可能にしている。なお、どのコースでも返還免除要件は変わらない。

 また千葉県では、医学部生のキャリア形成を重視し、在学中から利用できる支援策も多数用意されている。例えば、県内で活躍中の先輩医師との座談会や、病院見学バスツアーの開催、現役医師が県のキャリアコーディネーター、キャリアサポーターとなり、医学部生とのコミュニケーションをはかる取り組みなどだ。

 入学後にも選べる幅広い選択肢に加え、キャリア形成と地域医療への貢献が両立できる仕組みを整えているのも、同県の特徴といえる。

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地域枠を選んだのは、金銭的な理由が大きかった