
10月になると症状も悪化して、整形外科と内科医がいる病院の転院を繰り返して、もう相撲の巡業やプロレスのサーキットと変わらないよ。10カ月の間に6~7回ほど転院を繰り返したんじゃないかな。とにかくその日、その日をやり過ごすしかない。何日に退院できるってわかっていれば気持ちも違っただろうけど、先が見えない状況だったからね。
入院中はとにかく、朝が起きて寝るまで、何事もなく淡々と過ごすように気持ちを持っていくので大変だった。入院が長くなると気持ちも滅入るし、思考力もどんどん下がってしまう。思考力の低下の最たる例が競馬だ。入院中、俺は競馬で一度も勝っていない! これは由々しき事態だったよ!
入院の日々は淡々としていたからあまり記憶に残っていないけど、不思議なことがあった。容態が悪くなっていた時期のことなんだけど、俺の記憶だとある夜に突然、看護師から「転院する」と言われて、タクシーに乗せられて、船宿みたいなところに連れて行かれた。しょうがないからそこで寝て、朝起きて看護師がいないんで「看護師さん! 看護師さん!」と呼んでいたら、俺を連れてきた男に「うるせえんだよ!」と怒鳴られたという体験をしているんだ。
当然、絶対安静の俺を夜中にタクシーに乗せて、船宿に連れていくなんてことは絶対にあり得ないし、病院も娘もそんなことは無かったと言っている。でも、夢にしてはあまりにも鮮明で、生々しい体験だったんだよ……。もしかして、あれは三途の川の船宿だったのかもしれない……。
今度は腎臓に石がたまって
それからは大人しく療養して、22年の年末や23年2月の俺の誕生日には一時退院して、自宅で過ごすことができた。ところが、その後すぐにまた具合が悪くなってきちゃって、検査をした結果が「敗血症性ショック」だったんだ。