Q.女性ホルモンは自分で増やすことができますか?

 サプリメントや食品などで「女性ホルモンをアップさせる」とうたうものがあるために、こういった疑問が出てくるのかなと思います。

 そもそもエストロゲンは主に卵巣から分泌されています。ですから、卵巣の機能を高めなければホルモンの分泌量は増えないわけです。

 では卵巣の機能を高めるにはどうしたらいいかというと、残念ながら私たちは、いくら努力しても卵巣機能を高めることはできません。卵巣は、私たちの意志とは無関係に脳の視床下部の命令を受け取って、エストロゲンの分泌量を増やしたり減らしたりしているからです。

 何かを足すことによって女性ホルモンを増やすことができるとしたら、合成エストロゲンと呼ばれるような、お薬としてのエストロゲン製剤です。これは婦人科などで処方される薬剤です。

 それ以外ですと、エストロゲンに似た作用をするものとして大豆イソフラボンからつくられるエクオールがあります。しかし、これらはあくまでも補助的なものです。

 逆に、卵巣機能を下げる原因は、喫煙習慣、極端な食生活、運動不足があげられます。また、強いストレスも卵巣機能を下げる理由になりえます。視床下部はストレスに反応しますから、一時的だとしてもものすごく強いストレスがかかったり、慢性的にストレスが続いたりすることが、女性のからだのサイクルにとって望ましくないのは間違いありません。

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高尾美穂

高尾美穂

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。日本医師会認定産業医。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、さまざまな世代の女性の健康をサポートし、ライフステージに沿った治療法を提案。その過程で、患者の悩みや困りごと、さらには娘の心身についての悩みの相談を聞くことも。テレビや雑誌などメディアへの出演、連載、SNSでの発信のほか、アプリstand.fmで、再生回数1100 万回を超える人気音声番組『高尾美穂からのリアルボイス』を毎日配信中。とくに、更年期の専門家として、女性たちの支持は非常に高い。著書は『いちばん親切な更年期の教科書─閉経完全マニュアル』(世界文化社)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『オトナ女子をラクにする心とからだの本』『人生たいていのことはどうにかなる─あなたをご機嫌にする78 の言葉』(以上、扶桑社)など多数。

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