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 女性にとって生理がくるのは、12歳~50歳ぐらいまでの約40年間。はじめての生理から数年間は思春期にあたり、閉経に向かう数年間は更年期と重なる。また、妊娠出産というライフイベントもある。これらの人生全体の大きな波と、1カ月ごとの生理という細かな波の中で、女性ホルモンの値は刻々と変化する。「昨日と今日で気分が違っていたり、気持ちの浮き沈みがあったりすることは、全然おかしくない」と医学博士・産婦人科専門医で自身の音声番組「高尾美穂からのリアルボイス」でさまざまな年代の女性特有の悩みに触れてきた高尾美穂氏はいう。同氏の新著『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』(朝日新聞出版)では高尾氏が女性ホルモンについての疑問に答えていく。一部を抜粋、再編集し、紹介する。

【グラフ】エストロゲンの増減のグラフはこちら

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みんなが気になる女性ホルモンの疑問

 女性ホルモンについてよく聞かれる質問があるので、ここでちょっと考えてみましょう。

Q.恋をすると女性ホルモンがアップするというのは本当ですか?

 これは、女性ホルモンをいわゆるフェロモンのようなものと勘違いされているのかもしれませんね。

 女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は、残念ながら恋愛感情にはまったく左右されません。恋をしていようがしていなかろうが、卵巣からエストロゲンが分泌されて排卵が起き、妊娠しなければ生理がくるというサイクルは粛々とまわっていきます。

 ちなみに、ハグしたり人と触れ合ったりすることで、脳の下垂体から分泌されるオキシトシンというホルモンが増えることが知られています。こちらは「愛情ホルモン」と呼ばれるように、安心感を感じさせてくれるホルモンです。

高尾美穂さん
高尾美穂さん
写真:東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)
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高尾美穂

高尾美穂

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。日本医師会認定産業医。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して、さまざまな世代の女性の健康をサポートし、ライフステージに沿った治療法を提案。その過程で、患者の悩みや困りごと、さらには娘の心身についての悩みの相談を聞くことも。テレビや雑誌などメディアへの出演、連載、SNSでの発信のほか、アプリstand.fmで、再生回数1100 万回を超える人気音声番組『高尾美穂からのリアルボイス』を毎日配信中。とくに、更年期の専門家として、女性たちの支持は非常に高い。著書は『いちばん親切な更年期の教科書─閉経完全マニュアル』(世界文化社)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『オトナ女子をラクにする心とからだの本』『人生たいていのことはどうにかなる─あなたをご機嫌にする78 の言葉』(以上、扶桑社)など多数。

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