イメージ写真
※写真はイメージです(Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 女性にとって生理がくるのは、12歳~50歳ぐらいまでの約40年間。はじめての生理から数年間は思春期にあたり、閉経に向かう数年間は更年期と重なる。また、妊娠出産というライフイベントもある。これらの人生全体の大きな波と、1カ月ごとの生理という細かな波の中で、女性ホルモンの値は刻々と変化する。「昨日と今日で気分が違っていたり、気持ちの浮き沈みがあったりすることは、全然おかしくない」と医学博士・産婦人科専門医で自身の音声番組「高尾美穂からのリアルボイス」でさまざまな年代の女性特有の悩みに触れてきた高尾美穂氏はいう。同氏の新著『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』(朝日新聞出版)では高尾氏が女性ホルモンについての疑問に答えていく。一部を抜粋、再編集し、紹介する。

【グラフ】エストロゲンの増減のグラフはこちら

*  *  *

みんなが気になる女性ホルモンの疑問

 女性ホルモンについてよく聞かれる質問があるので、ここでちょっと考えてみましょう。

Q.恋をすると女性ホルモンがアップするというのは本当ですか?

 これは、女性ホルモンをいわゆるフェロモンのようなものと勘違いされているのかもしれませんね。

 女性ホルモンであるエストロゲンの分泌は、残念ながら恋愛感情にはまったく左右されません。恋をしていようがしていなかろうが、卵巣からエストロゲンが分泌されて排卵が起き、妊娠しなければ生理がくるというサイクルは粛々とまわっていきます。

 ちなみに、ハグしたり人と触れ合ったりすることで、脳の下垂体から分泌されるオキシトシンというホルモンが増えることが知られています。こちらは「愛情ホルモン」と呼ばれるように、安心感を感じさせてくれるホルモンです。

高尾美穂さん
高尾美穂さん
写真:東川哲也(朝日新聞出版写真映像部)
次のページ