被害者の聞き取りをした「再発防止特別チーム」は、副社長だったジャニー氏の実姉の藤島メリー泰子氏(21年死去)が、「60年代前半には(実弟の)ジャニー氏の性嗜好(しこう)異常を認識し、少年たちへの性加害が続いていることを知りながらも放置・隠蔽した」ことが被害の拡大を招いた最大の要因であると指摘している。それはつまり、身内を守り、身内の論理を優先させ、犯罪行為を隠蔽したということでしかない。

互いの方向性すれ違う

 メリー氏の長女である藤島ジュリー景子氏(57)は9月7日の会見で、母のメリー氏との関係について、

「普通の母子関係と全く違いまして……。私とメリーと、ざっくばらんに話したことはございません」

 とうつむいた。幼い頃から、後継者として厳しく育てられたというジュリー氏。その言葉には、普通の母子の関係を望んでいた切なさがにじんだ。

 鈴木准教授は言う。

「ジュリー氏の母娘関係についての発言にはウソはないでしょう。母娘ともに『血』を大事にしたかった点は共通していますが、互いの方向性はすれ違っているし、組織を守ることもできなかった」

 そこが、ジャニーズ事務所の落とし穴になったことは間違いなさそうだ。(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年10月9日号より抜粋

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