実質賃金は上昇しない
以上をまとめると次のようになる。
中企業以上の企業では、粗利益が増加したにもかかわらず、賃上げを行なってこなかった。それが2023年春闘において、賃上げとして実現した。
他方で、小企業・零細企業では、粗利益が増大していないから、これ以上賃上げを行なうことができない。したがって、春闘で3%を超える賃上げが実現しても、経済全体の賃上げ率はそれより低くなる。
一方、物価上昇率は、2022年9月以降3%を超えている。したがって、実質賃金は低下する。しかも、4.2%という値は、政府の物価対策によってガソリン価格などを引き下げた結果だ。実際の物価上昇率はもっと高い値になっている。
実質賃金が上昇しない問題は、依然として、日本経済の最大の問題だ。