自分の声が好きに
そんな心境の変化は、個展の準備と並行してやっていたグループのアリーナツアーにも影響を及ぼした。
「生まれて初めて前髪を全部上げて編み込みにする髪形に挑戦したんです。HYDEさんをモデルに、リスペクトを持って作らせていただいて……昔は“前髪命”だったんですけどね。作品と向き合って、いろんな自分を見せていきたい、髪形も新しいことに挑戦してみたいと思って、あのパンチの利いた髪形に繋がったんだと思う。他にもいろんな髪形に挑戦したんですが、皆さんに喜んでもらえたようで嬉しかったです」
挑戦は続く。グループの新シングル「本音と建前」は、椎名林檎の楽曲提供曲だ。今までにないグループの魅力が引き出された一曲となった。
「80年代テイストに挑戦したり、ここ最近は自分たちに合う音楽性を探し求めてきたけど、今回『新境地』が拓けたと思う。林檎さんらしさはしっかりありつつ、僕らの味も壊さないでいてくれて、バランスが絶妙な『アート作品』みたいな曲です。僕としては(佐藤)勝利とハモる『恥ずかしくも確信を以って生きていると感じ生きていきたいと思う』という2行に一番感情が入ります。推しです。注目して聴いていただけたら。
林檎さんに『声がいい』と言ってもらえたんですが、それもすっごく嬉しかった。僕、自分の声が好きじゃなかったから。去年、舞台『こどもの一生』をやったときに演出家のG2さんにも言ってもらったけど、今回改めて自分の声が好きになれました。これも自分の中ではすごく大きな変化。
年末にはドームツアーもあります。去年の初ドームを超えなきゃいけないプレッシャーは大きいけど、ファンの皆さんと一緒に楽しみながら、今の僕たちならではの魅力を届けていきたいです」
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2023年10月2日号