難しかったのは、感情をカタチにすること。思いに任せて創作するのは簡単だが、なぜその感情が生まれたのか、核の部分は伝わりにくい。
「自己中(心)だけではダメだけど、僕はアイドルとして「見てくれる人がどう思うか」を考えすぎちゃうクセもあって、そっちを気にしすぎてもダメで……結果、自己中半分、考えて考えて作った作品半分かな(笑)。
今回は会場の空間デザインや、グッズ、SNS展開をどうしていくかも含めて僕が案を出したんです。頭の中にある理想を実現させるために、いろんな場面で『プレゼン』もやりました。そんなの初めてのことで。与えられたお仕事を頑張るだけでは分からなかった、社会人としての勉強をたくさんしました。周りの方々への感謝も強くなりましたね」
完璧じゃなくていい
松島の「自分らしさ」を追求した作品ではあるが、それを媒介にしてお客さん自身も自分と向き合い、考えるきっかけにしてほしい。
「作品の説明文は、敢えて抽象的に書きました。正解の強要はしたくない。いろんな正解があっていいんです。
僕も迷いながら生きていて、そんな自分を見せることで、『完璧じゃなくていいんだ』と感じてもらいたい。誰もが『らしく』あることを前向きに捉えて、生きやすくなったらいいなって。そんな個展にしたいです」
取材した時点(8月末)では作品は完成間近。満足できる個展になりそうかと尋ねたら「満足するようにはしています」と笑った。
「完璧じゃなくていいんだ、と人に言いながら、僕、すっごい完璧主義者なんです(笑)。つい極端に考えちゃう。根っこの部分はなかなか変えられないけど、でもやっと『0か100か』じゃない選択肢が増えてきたのは感じています。行き詰まったとしても、『こんな考えもある、あんな考えもある、さぁどれを選ぼう』と考えられる引き出しが増えたと思う。
完璧じゃなくても、自分の作品に自信が持てるようにもなりました。アートという自分だけの武器を『ちゃんと見つけられた』と思えたのは、すごく大きな変化だと思う」