作品を観終わった時は「興奮」というよりも、余韻がすごくて、言葉が出てこないままスーッとその場を後にしたのを覚えています。「どうだった?」と聞かれても色々考えてしまい、うまく話せなくて。車に乗り込んでから、チーフマネジャーと二人で「安藤さん、すごかったね」と、しみじみと語っていました。

山田君だからこそ

――二人で対峙するシーンでは、お互いのどんなところに凄さを感じていたのだろう。

安藤:ジョーは自称サイコパスであり、だらしないポンコツではあるけれど、愛らしさも感じられる。それはもう、すべて山田君が演じるからこそ複雑な魅力を持った人物になったと思うんです。大きな舞台で活動されていることで培われた“魅せる力”と、肝の据わった部分に加え、役を演じることへの緊張感も現場で感じることができた。

 ご本人の持っている温度と、人間臭さがすごくリアルで。まるで食レポのように語ってしまっているけれど(笑)、山田君が持っている愛くるしさと、ジョーとして描かれる愛くるしさが相まって素晴らしいキャラクターが生まれたのだと思います。

山田:いま、我慢していましたけれどずっとニタニタしていました。「嬉しいな」って。

安藤:そのうえ、ご本人は飾らなくて、嘘がなくて。役とのすごい出会いを果たしたのではないかな、と近くで見て勝手に感じていて。作品を観ても、こうしてインタビューの時間をともにしても「山田君とジョーはすごい出会いをしたのではないかな」と改めて思う。私自身、今まで演じてきた役のなかでも「出会ったな」と思う役っていくつかあり、このネリという役と出会ったことで、この年齢になってもまだ「出会ったな」と思える役ってあるんだ、と素直に思うことができました。

とにかく楽しい現場

山田:僕の場合、良いのか悪いのかわからないのですが、どの役を演じても「役をつかんだ」という感覚があまりないんです。とにかく必死というか、自分が思う正解を追い求めながら演じているので、僕の「つかんだ」という感覚よりも、観ている方がどのように捉えるかの方が大事かな、と。観る方によって、観る角度も見方も違うと思うので「どんなふうに受け取ってもらえるかな、このジョーという役は」と、ちょっとドキドキしている部分はあります。

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