安藤:リアルで繊細な部分が脚本に描かれていたので、そこで私たちが「悪を演じよう」としてしまうと、観ている方との距離ができてしまう。

 脚本を読み終わったときには、自分のなかでどうネリを演じたいかが明確に見え、それを監督とも共有できたので、その時点でワクワクする気持ちに変わりました。「自分が一番ネリのことはわかっている」という気持ちはあったし、迷うことはなかったですね。

山田:原田監督の在り方で「素敵だな」と感じるのは、演じ手に任せて下さること。もちろん、枠から大きく外れたら言って下さるのでしょうが、自分のなかにインプットしていた「ジョーはこういう人間ではないか」という考えを尊重し、楽しんで下さるというか。「涼介が具現化したジョーを演じてくれ」という監督の気持ちは感じていました。それから、しっかりと本読みをしたのも印象的でしたね。

安藤:丸一日かかった時もあったよね。

山田:3、4回はした記憶があり、その段階で監督が思い描くトーンやテンポをつかめたので、ありがたい場だったな、と。

――作品のなかで安藤はよく走り、アクションもこなす。一方の山田はニカッと笑い、邪悪な表情を見せる。見たこともないような表情がそこにはあった。

安藤:初号試写を観終わったとき、気づけば原田監督のもとに駆け寄って開口一番「山田涼介、ヤバいですね」と言っていました。「山田涼介を観てもらいたい映画だね!」「私はもう、宣伝活動では山田推しと決めた!」と、畳み掛けるように(笑)。

 現場でも山田君の表現の魅力はすごく感じていたけれど、完成した作品を観て、私と一緒のシーンでは見たことがないようなジョーの姿を見て、本当に心を持っていかれて。「アイドルとして歌っている山田君を見てきた方にも、映画好きの方にも観ていただきたい山田涼介です」と、声を大にして言いたいほど。

山田:嬉しいです。僕よりも安藤さんのほうがアクションシーンが多く、そのアクションの生っぽさや泥臭さを僕は新鮮な気持ちで観ていました。ネリの必死感がすごくリアルで、作り込まれていないアクションというか。道端で突如始まった強い者同士の取っ組み合いに立ち会ってしまったような。そう感じられるものってあまり多くはないので、感動しました。

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