AERA 2023年10月2日号より

 教団は、被害者救済の第一人者である紀藤正樹弁護士やテレビ局、ラジオ局などを名誉毀損で相次いで提訴。さらに7月、全国弁連の弁護士7人を世界平和女性連合が提訴したほか、「旧統一教会に関与しないことを確認する決議」を可決した北九州市議会に対し、名誉毀損に当たるなどとして、教団が8月に福岡地裁に提訴している。教団を追い続けてきたジャーナリストの鈴木エイトさんは、一連の動きをこう分析する。

「なりふり構わない必死の抵抗をしながら、あらゆる総攻撃を仕掛けているのでしょう。国に対しても真っ向から牙をむく姿勢を鮮明にしている」

 文部科学省は、教団に対して7回にわたって500項目以上の質問(重複除く)を重ねた結果、回答のない項目が100以上あったことを重視。今年9月7日、教団に対して「過料」を科すよう求める通知を東京地裁に郵送した。政府は教団の悪質性を示す要素のひとつとして、解散命令をめぐる審理を有利に運びたい考えだ。

「資産」は残っていない?

 教団は、翌8日に緊急会見を開き、「質問権行使は違法であり、回答拒否に対する過料は認められない」とし、全面対決を宣言した。だが、解散命令請求はもちろん、その先にある裁判所の解散命令も避けられそうにはない。鈴木さんは、信者に動揺が広がっているとし、

「会見は、内部の引き締めと結束を高めるためでもあったと思います。教団がメディア、社会、国からいわれなき宗教ヘイト、宗教迫害を受けている、と信者に説明しているでしょう」

 いま最も危惧されているのは、教団の財産隠しだ。

 解散命令請求は最高裁まで争えるので、確定までには半年から3年かかるとみられる。現在の宗教法人法にはその間に財産を保全する規定がなく、韓国の教団本部など海外への送金などを防ぐ手段がない。現在、教団は年間500億円ほどの献金を集めているとみられるが、被害者が損害賠償請求をした場合に、返済されるべき資産が残されていない可能性があるのだ。全国弁連は、

「特別措置法によって、早急に差し押さえておくべきだ」

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