今夏、仙台育英を破り日本一になった(撮影/写真映像部・東川哲也)
来夏も甲子園に出場することができるか(撮影/加藤夏子)

「総合力で言えば慶応が頭一つ抜けている印象ですが、勝つ術を知っている横浜、投手陣が強力な東海大相模も十分に戦える。桐光学園は投手陣が慶応の強力打線を抑えて接戦に持ち込めば、番狂わせの可能性がある。神奈川県大会は強豪校がひしめき、全国大会さながらのハイレベルな戦いが繰り広げられます。慶応は決して油断できません」(スポーツ紙デスク)

 横浜は今夏の県大会で慶応を最も苦しめた高校だった。左腕エース・杉山遥希(3年)、安打製造機の緒方漣(3年)を中心とした好チームは九回まで2点リードと優勝を手中に収めかけたが、最終回で無死一塁から丸田の二ゴロに、遊撃の緒方が二塁ベースを踏まず一塁に送球したと判定されて流れが変わる。一塁、二塁共にセーフでピンチが拡大し、渡辺千之亮(3年)に3ランを浴びて逆転負けを喫した。

 再スタートを切った横浜でカギを握る投手が、1年生左腕の奥村頼人だ。小学生時代はタイガースジュニアに選ばれるなど将来を嘱望される左腕で、130キロ台の球速以上の威力を感じさせる力強い直球にチェンジアップを織り交ぜて三振を奪う。その投げっぷりは横浜の先輩で、現在阪神の左腕エースとして活躍する伊藤将司を彷彿とさせる。まだまだ発展途上の投手で制球力を改善するなどの課題があるが、伸びしろは十分だ。

 アマチュア担当のスポーツ紙記者は、「横浜は伝統的に夏に強く、今はまだまだ粗削りで未完成です。ただ、今夏に悔しい負け方をした慶応に負けたくない気持ちは強い。近年は甲子園で目立った成績を残していないですが、地力はある。強いチームと戦う時に能力以上の力を発揮してくる。秋の県大会、関東大会を勝ち抜いてセンバツに出場するチーム力が備われば、来夏は神奈川県大会の本命になるでしょう」と分析する。

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「打倒慶応」に燃えている