最近では今年6月、大阪府四條畷市(しじょうなわてし)の市民が市に対して「私の子どもが中学校に通っていますが、給食の量がすごく少ないみたいです。(同級生も同じ意見が多い)(中略)一度、市長が抜き打ちで中学校の給食を食べていただき、子どもたちに適量か判断していただけたらさいわいです」との提言がなされるなど、給食の質や量の低下を訴える声が全国各地で途切れることはない。
切磋琢磨がなくなった
ただ、前出の牧下さんによると、食材の高騰が「質素すぎる給食」に直結するわけではないという。
「『給食』といっても、やはり料理ですから、それをつくる栄養士と調理員のスキルに左右されるところが大きいわけです。限られた予算でもうまく工夫することによって、ぱっと見、これまでとそれほど変わらないレベルのものを出せたりする。でも、献立の工夫が苦手な栄養士やスキルの低い調理チームだと、栄養は足りているけれど、見た目が寂しい給食になってしまう」
調理員が委託業者になってしまい、学校や自治体の栄養士と切磋琢磨してレシピを工夫する機会が失われてしまったことも大きな要因という。
給食の質を問わない低価格落札がまん延し、業者の経営破綻や極端に質素な給食が後を絶たない。そのしわ寄せを受けてきたのは子どもたちなのである。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)