鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、悔しさについて。
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僕は子供時代に「悔しくて泣いたこと」がないです。中学・高校時代もサッカー部に所属していました。中学の最後の大会でも高校の最後の大会でも、泣かなかった。僕はずっと補欠でした。部活の仲間が楽しかったからやっていましたが。練習はしんどいし、辞めたい思いはずっとあった。でも辞めにくくて最後まで一応、やっていた。
高校最後の大会。負けが決まった瞬間に、部員のほとんどが泣いていました。「あ、こいつも泣くの?」と思うような人が泣いていました。僕は「やっと解放される」と言う気持ちが強すぎて、全然悔しくなくて、泣けなくて。だけど、悔しいフリをしていました。なんなら、ちょっと泣く芝居もしたりして。
腹が立つ経験や悲しい経験も沢山しましたが、「悔しい」という思いを感じてこなかったかもしれない。それだけ本気で打ち込むものがなかったのかもですが。
で、息子の笑福です。8歳、小学2年生。
運動神経はいい方ですが、特に何かスポーツに興味を持つわけでもなく。勉強も大嫌いで。
ゲームとYouTubeに人生を捧げています。それはそれでいいと思っています。
そんな笑福が、今年の夏、突然、「自転車乗りたい」と言い出しました。自転車を買ってあげましたが、何度、練習させようとしても全然やらない。ですが、突然やり出した。自分で言い出しただけあって、ものすごいスピードで上達していく。それを見て、やはり、自分からやりたいと言うのを待つことって大事だなと感じました。