※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 国会で激しい与野党論戦が進むなか、大臣に後ろから耳もとでささやく人たちを見かける。彼らはその大臣のもとでブレーンとなる省庁事務官だ。国家公務員である「官僚」といったほうがわかりやすい。法律の制定や改正など、社会を良くするための政策を考えている。官僚になるためには、国家公務員の採用試験に合格しなければならない。職種は総合職、一般職などに分かれる。いずれも試験はかなりの難関である。「国家公務員試験合格者」ランキングをもとに、大学の強みを読み解いていこう。発売中のアエラムック「就職力で選ぶ大学2024」(朝日新聞出版)より紹介する。

【ランキング】国家公務員試験合格者数が多い大学はこちら 一般職1位は岡山大

総合職、近年は私立大も健闘

国家公務員試験合格者数ランキング(国家公務員総合職)
ランキングの見方:国家公務員総合職および一般職、外務省総合職と専門職の入省予定者は所管省庁、大学調査をもとに集計した。2022年の国家公務員採用総合職試験の申込者数1万5330人(前年比1020人増)、合格者1873人(同39人増)。設置別では国立1248人(66.6%)、公立78人(4.2%)、私立531人(28.4%)など。女性の合格者は573人(30.6%)だった。
◎2022年度 外務省総合職、専門職員は入省予定者

 総合職は幹部候補として政策の企画、立案を担い、「キャリア官僚」と呼ばれる。総合職には技術系があり、 建築、機械、 電気・電子、農学・水産などの職ごとの試験がある。

 総合職採用試験の合格者ランキングについて、東京大が新制大学発足時から1位の座を守り続けている。前身の東京帝国大学は「帝国大学ハ国家ノ須要ニ応スル学術技芸ヲ教授シ……」(帝国大学令)という役割を担っていた。「須要」とは、「なくてはならないこと」、いうなれば、国家に必要なことに応えるための専門分野を教える、もっと平たく言えば政策を考える専門家=官僚を養成する、ということになり、それがいまに伝わっている。

 2位は毎年京都大の指定席だ。3~10位は長年、北海道大、東北大など国立大学が占めていたが、近年、早稲田大、慶應義塾大、中央大、立命館大などの私立大学も健闘している。

一般職では大規模私立大が強い

国家公務員試験合格者数ランキング(国家公務員一般職)
ランキングの見方:国家公務員総合職および一般職、外務省総合職と専門職の入省予定者は所管省庁、大学調査をもとに集計した。2022年の国家公務員採用総合職試験の申込者数1万5330人(前年比1020人増)、合格者1873人(同39人増)。設置別では国立1248人(66.6%)、公立78人(4.2%)、私立531人(28.4%)など。女性の合格者は573人(30.6%)だった。
◎2022年度 外務省総合職、専門職員は入省予定者

 一般職は政策の運営、遂行を担う。彼らは特定分野で専門知識を持ち、経験豊富なだけに、「○○の神様」と尊敬される人たちがいる。出身校は岡山大、広島大、新潟大など地方の国立大学、中央大、早稲田大、明治大、立命館大、日本大など大規模私立大学が多い。

   岡山大は国家公務員試験対策に力を入れており、大学はこう誇っている。 「多くの法学部生が、大学生協の公務員講座も利用しながら、法学部の専門科目に真摯に取り組み、公務員を目指して日々励んでいます」(「岡山大学法学部 2024年度学部案内」)  岡山大の総合職試験合格者の進路は財務省、厚生労働省、農林水産省など、一般職試験合格者は経済産業省、防衛省、警察庁などだ。

国を支える気概で公務員の道へ

 では、どのような人が国家公務員を目指すのだろうか。

  財務省に勤務する、法政大出身の男性は、大学入学時、社会のルールとして法を学びたいと考え法学部に進んだ。

「国と地方の借金(国債)が1000兆円を超えたニュースが話題となっていたことで、借金の多さに衝撃を受け、日本の財政に興味を持ったため、財務省で働きたいと考えるようになりました」(「法政大法学部案内2023」)

 文部科学省で働く中央大出身の女性は志望動機を次のように話す。

「“日本を国力の底力である教育から支えたい”と、具体的な展望に変わっていきました。留学を通じて、自分の人生が日本の教育制度に支えられてきたこと、また文部科学省の所掌である教育、文化、スポーツ、科学技術には、安心安全な社会や平和を実現しようとしてきた歴史があり、その軌跡の一助になりたい、そう思った時、もう迷いはありませんでした」(大学の就職指導案内「公務員をめざそう!2023」)

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外交官を目指せる大学が増えている