さまざまな個性を持つスケーターが、高いレベルで競う日本男子。今季シニアデビューする若武者も、それぞれの魅力を持っている。
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昨季の全日本ジュニア選手権チャンピオンである吉岡希は、ジュニアGPファイナル・世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得し、国際大会でも結果を残した。
19歳の吉岡は、4回転トウループとトリプルアクセルを習得している。高い技術力を持ちながら表現面では控えめな印象があった吉岡だが、昨季は大きな試合で表彰台に上がる度に自信を深めていく様子がうかがえた。
実績を携えてシニアに上がる吉岡は、今季世界的に著名なローリー・ニコル氏が振り付けたショートプログラム『Lullaby for Sadness /Fate of the Clockmaker』を滑る。スケーティングの伸びやかさが際立つ振付の中にアクセントとなる所作も組み込まれ、表現者として一つステップを上がれそうなプログラムだ。
8月に行われたげんさんサマーカップに出場した吉岡は、ジャンプが本来の出来ではなく6位だった。調整の途上にある印象だったが、イタリアで9月8~10日に行われたロンバルディア杯では、フリーで4回転トウループ+3トウループを成功させている(結果は5位)。
吉岡は、コロナ禍のため男子は日本人選手のみで行われた2020年NHK杯に出場しており、既にシニアのGPシリーズは経験済みだ。当時は表情も固く緊張が隠せない様子だったが、充実した昨季を過ごして臨む今季は違う姿を見せてくれるだろう。GPシリーズは、第1戦・スケートアメリカに出場する予定だ。
げんさんサマーカップでテレビ局の取材に応じた吉岡は、「“楽しみ”というのが、一番の気持ちです」とシニアに上がる思いを語っている。
「やっぱりシニアは本当に上手な選手しかいないので、どこまで戦えるかが楽しみなところです」
全日本ジュニア王者は、まっさらな思いを武器にシニアデビューシーズンに臨む。