エディ・ジョーンズ元ラグビー日本代表監督。2015年に南アフリカを撃破して世界に日本のラグビーを知らしめた立役者。19年日本大会ではイングランド代表を準優勝に導き、今年のフランスで大会では出身国オーストラリアの代表監督を務めている(写真/Miho Watanabe、協力/オーストラリア大使館)
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 いよいよ、ラグビーワールドカップ2023フランス大会が開幕した。日本の初戦の相手はチリ。日本時間10日、20時に戦いの火蓋を切る。

 前回、2019年のワールドカップ日本大会では、日本代表はプール(予選リーグ)で強豪アイルランド、スコットランドを撃破。史上初のベスト8入りを果たした。

 それだけに今大会の日本は、他国からマークされる立場になる。そう水を向けると、元日本代表ヘッドコーチで、現在はオーストラリア代表を率いるエディ・ジョーンズ氏は、

「期待がない中でやってきたのとは、まったく違う状況ですよ。どうやっていくか……難しいけれども、切り開いていかないといけない」

 そう言ったうえで、「タイヘンネ」と日本語で付け加えて、ニッコリと笑った。

 エディ氏の指揮のもと、日本代表は15年イングランド大会の初戦で、優勝候補の一角・南アフリカを破る“大金星”を挙げ、世界のラグビーファンを驚かせた。

 それを上回るベスト8という快挙を成し遂げた19年の日本について、エディさんは、

「私は、日本代表の礎を築いたというプライドをもって、試合を観ていました。特にスコットランド戦(日本が28対21で勝利)での集中力は非常に素晴らしいものがありましたね。プレースタイルも自由だったし、観ていてとても楽しかった。ケンキ(福岡堅樹)、マツシマ(松島幸太朗)、リーチ(マイケル)……すごいサムライ精神のある選手たちだった」

 と振り返り、一層の進化を称える。

 では今大会はどうか。日本は最新の世界ランキングで14位。日本が戦うプールDには、アルゼンチン(6位)、イングランド(8位)、サモア(12位)と、より上位の国が3国も入っている。

「まずは決勝トーナメント進出を目ざして欲しい。アルゼンチンもイングランドも強いチーム。勝つのが当然と思っていくのではなくて、強いチームと対戦するということを忘れずに」

 もう一人、日本を熟知する世界的プレイヤーも、今大会における日本の“立ち位置”について同じように分析する。

 元オーストラリア代表で、15年、19年のワールドカップに出場したバーナード・フォーリー選手。19年から日本のリーグワン、クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーし、昨季は得点王に輝くとともに、チームの初優勝に大きく貢献した。

 まずは近年の日本のレベルアップについて、こう説明する。

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日本ラグビーがレベルアップした理由は