エディ・ジョーンズ元ラグビー日本代表監督(写真/Miho Watanabe、協力/オーストラリア大使館)

 加えてエディ氏は、「ワールドカップでは、必ず勝たないといけないゲームがひとつあります。そのゲームに勝つことで、先が開かれていくんです」と語る。

 エディ氏にとってそれは、日本代表ヘッドコーチだった15年では南ア戦であり、イングランド代表ヘッドコーチとして臨んだ19年では準決勝のニュージーランド(オールブラックス)戦だったという。

「どんなプロジェクトに対しても、リハーサルを重ねることはすごく大切です。2年間かけて準備したことで、オールブラックスに勝てました」

 試合前、オールブラックスがハカをする間、イングランド代表がVの字のフォーメーションを組んで対峙したのも、その準備の一環だった。

「ハカをする彼らに、プレッシャーをかけていくという気持ちから行いました。日本人はオールブラックスが大好きで、スタジアムにはオールブラックスのジャージを着ているファンも多くいました。スタジアムの空気は選手のプレーに影響を与えるので、まずそこを変えたかったのです」

 さて今大会では、日本とオーストラリアは、プールでの勝ち上がり次第で(一方がプール1位、他方が2位)、準々決勝で激突する。オーストラリアは日本相手にどう戦うのか?

「日本が速いことはわかっているので、スローペースにもっていくことです。オーストラリアはセットピースに重点を置き、フォワードに重量のある選手を使っていくことでしょう」(フォーリー選手)

「日本のスピードに対して、オーストラリアの場合はパワーが武器です。日本はすごく向上しましたけど、自信という面でちょっと欠けている部分があります。そこで、彼らが上手くプレーするのを防ぐためにも、ゲームの頭からオーストラリアが勢いを得たいと思います」(エディ氏)

 日豪対決実現のためにも、まずはプールDで勝ち上がりたい。

(ライター・菊地武顕)

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