俺もジャンボもテリーになりたい
俺やジャンボもそうだけど、あの頃はテリーのようになりたいというレスラーがごまんといたよ。彼のスタイルは“型破り”の一言に尽きる。プロレスって「アン・ドゥ・トロワ、アン・ドゥ・トロワ」とリズムよくやっている印象もあると思うが、それをしっちゃかめっちゃかにしたのがテリーだ。
予定調和じゃない試合運びで、見ていて面白いし、ファンも興奮したと思う。しかも、しっちゃかめっちゃかとはいえ、対戦してみるとこっちのすべてを受けて入れてくれるからすごくやりやすい面もあった。俺のスタイルと合っていたね。
なんせ、俺もテキサス仕込みだからね。ただ、全日本プロレスでトップを取るようになってからはスタイルが変わったような気がする。おそらくジャイアント馬場さんに「ちゃらんぽらんじゃなくて、もっとどっしりしたプロレスを若手とやってくれ」というようなことを言われたんだじゃないかな。そうなると、テリーのよさも無くなってしまって、少しもったいなかったね。
テリーといえばローリング・クレイドルのインパクトも強かったね。大きい相手を回して、股裂き状態にしてギブアップも取れる技。俺も憧れてドリーに頼み込んで教えてもらったけど、見るのは簡単でやるのは難しいもんで、結局4回くらいしか使わなかったのは、前回話した通りだ(笑)。あの技は体幹が強くないとできない。相撲で鍛えた体幹とはまた別の力が必要になるんだ。
テリーの一番すごいところは?
技はもちろんだけど、テリーで一番すごいと思うのは、観客の気持ちをつかむのが上手いことだ。観客を盛り上げたり、自分の方につけたりできるのは、持って生まれたものか、場数の多さかはわからんないけど、彼は超一流だ。ファンク家というプロレス一家に生まれたからというのもあるだろうね。