「Relay~杜の詩」はオンエア直後から大きな反響を呼び、SNSでも数多くのコメントが飛び交っている。なかには「国民的アーティストがこんな発言をするとは」という否定的な意見も少数ながら存在するが、「歴史を照らし合わせて/助け合えたらいいじゃない」と歌う「ピースとハイライト」(サザンオールスターズ)、アメリカに向けられた愛憎とこの国に対する複雑な思いを込めた「ROCK AND ROLL HERO」(桑田佳祐)など、桑田佳祐は以前から、さまざまなメッセージを込めた楽曲を発表し続けてきた。
2009年放送の音楽番組「桑田佳祐の音楽寅さん ~MUSIC TIGER~」では、ザ・ビートルズのアルバム『アビイ・ロード」の収録曲に日本語の歌詞を付け、当時の社会的なトピックを反映した「アベー・ロード」として披露。“空耳”のクオリティの高さを含め、大きな話題を集めた。こういったアクションは日本ではあまり例がないかもしれないが、海外ではミュージシャンが楽曲に社会的なメッセージを込めるのは当たり前。ビリー・アイリッシュやテイラー・スウィフトなどの現代のスターも、事あるごとに積極的なコメントを続けている。
この国では“ミュージシャンは社会的な発言をしないほうがいい”という意見が今も残っているが、現在の社会はノンポリを気取っていられるほど呑気な状況ではないし、政治に関心がないという態度は必然的に、現状をそのまま追認することにつながってしまう。桑田はラジオ番組の終わりに「自分のなかの違和感みたいなものを明確にしないと、自分に返ってくると言いますかね。人生はブーメランだと最近は思うようになりました」とコメント。サザンオールスターズ45周年という記念すべきタイミングで発表された「Relay~杜の詩」が世の中にどのような影響を与えるのか、自分事として注視していきたいと思う。
(森 朋之)