阪神が独走状態となり、3年ぶりのセ・リーグ制覇が絶望的な状況となっている巨人。2年連続Bクラスの危機にも瀕しているが、来季が3年契約の3年目を迎える原辰徳監督がオフにどう動くのか早くも注目されている。
現在4位の巨人は9月に入って支配下で指名したルーキー全員を一軍に登録するなど、既に来季を見据えている印象を受ける。また、クライマックスシリーズ(CS)進出に向け重要な試合での采配も「今季を諦めたのか」と賛否を呼ぶものとなった。
2日のDeNA戦(横浜)の8回、「4対12」と敗色濃厚の場面でマウンドに上がったのは内野手の北村拓己。巨人が野手を投手起用するのは、20年8月6日の阪神戦(甲子園)での増田大輝以来となった。
「球場全体から驚きの声が聞こえた。Aクラス入りを目指すライバルとの直接対決で白旗をあげるような選手起用。何があっても諦めずファンを大事にする原監督らしくない采配だった」(在京テレビ局スポーツ担当者)
原監督は北村の登板について聞かれると「まぁ、これは新聞等々で、みんなの前で言うことではないですね」と回答。点差が開きリリーフ投手を温存したい考えもあるとはいえ、勝利を諦めてしまったような選手起用には否定的な声が一部のファンからあがった。
「今季のAクラス入りを諦めたわけではないが、実質的に先のことを考え始めたのでしょう。21年オフに結んだ3年契約が切れる来季を勝負の年と決めているはず。監督退任後に何をやるにしても今のままでは悪い印象がつきまとう。来季こそリーグ優勝と日本一を成し遂げ、有終の美を飾りその後に繋げたいはず」(巨人担当記者)
原監督は編成面を含めた全権監督として、若手中心のチームへの移行を進めながら戦ってきた。投手では戸郷翔征がエース級の存在となり、山崎伊織も計算できる投手に成長した。昨年プロ初勝利を挙げた19年のドラフト1位右腕・堀田賢慎など伸び悩みが指摘される投手も少なくないが、それでも他球団に比べても期待の若手は多い印象を受ける。