孫:僕だって「変えられる」とは思っていなかった、というのがカラクリでして、興味のある方にはその先の文章をぜひ読んでいただきたいのですが、大事なのは、「自分が変われば、周りが変わり始める」ことです。実践している人は、すでに実感していると思いますが、その感覚を伝えられたらと。一人ひとりが始めていけば、そのうちみんなでワッショイワッショイと行けるところまで行くんじゃないか。
藤原:わかります。自分の意識が変わると周囲が変化し、その動きやつながりが再編集されて、世界そのものが組み替えられるということですね。僕も、学校でやってみせている「よのなか科」の教科では、「世の中を自分から主体的に動かす」ための授業に取り組んでいるんです。先ほどの『学校がウソくさい』でも詳述しましたので、ぜひ併せて読んでもらえればと思います。ところで孫さんは、学校のシステムや存在意義について、どう思われますか?
孫:私はですね、ゼロからデザインして「新しい学びの場」を作りたいんです。年齢などに関係なく、「初心者」のための場と、「熟練者」ための場。ざっくり言えば、その二つがあればいいのではないか、と。何かを新しく学びたい人たちには前者、何かをとことん探究している研究者たちには後者。もちろん、相互を行き来できるようにしたい。というのも、人は何歳になっても、新しいことを始めるときには初心者なわけですからね。実は、試行錯誤しながら、少しずつその取り組みを始めています。