事業の持続性を考えて、高付加価値化に路線転換
カワグチマック工業がリボード事業に乗り出したのは2010年に川口社長が2代目社長に就任してからだ。創業以来、機械メーカーや食品メーカーなどの発注に応じて段ボール箱をつくってきたが、梱包材は常に安さを求められる商材である。このままでは事業の持続可能性がないと判断し、強化段ボールを使った付加価値の高い事業にかじを切った。
今ではリボードでつくった陳列棚、デスク、リモートワーク用のブースからペット商品の製造・販売をし、展示ブースの受注に力を入れている。昨年度の売上高(約12億円)のうちリボード事業は2割となった。
「最近では大手企業の場合、リボードを知ってもらえれば興味を持ち、導入を検討してもらえる。SDGsのおかげです」と川口社長。リボード事業だけで10億円の売り上げを目指すことが当面の目標だ。
事業の持続性を考えれば、地球環境にも社員、取引先、顧客にも無理や負担を押し付けるわけにはいかない。SDGsは本業と違う特別なことをすることではない。中小企業の場合、規模が小さいだけに、それを愚直に実行すれば会社全体を変えられるチャンスになる可能性があるのだろう。(経済ジャーナリスト・安井孝之)
※AERA 2023年9月4日号より抜粋