副業(複業)・転職マッチングサービスの「KAIKOKU」の展示ブースはすべて強化段ボールで作られていた。東京ビッグサイトで(撮影/安井孝之)

 SDGsの機運が高まりを受け、それを好機として環境ビジネスで会社を大きく変える中小企業がある。「正しい仕事」で稼いでみせる。AERA 2023年9月4日号より。

【写真】カワグチマック工業の川口徹社長

>>【「正しい仕事でちゃんと儲けにもなる」 木材商社の「一本の木を使い切る」環境ビジネスへの挑戦】からの続き

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 段ボールで「正しいこと」を実現しようとしているのが、カワグチマック工業(本社・兵庫県尼崎市)だ。7月中旬に東京ビッグサイトで開かれた展示会「販促エキスポ」にスウェーデン製の強化段ボールで作った展示ブースを出展した。

 展示ブースには従来ベニヤ板などの木材ボードが使われることが多い。何度も使える部材もあるが、展示会が終われば大半が産業廃棄物として捨てられる。

 一方、カワグチマック工業が使う強化段ボール「Re-board(リボード)」は原材料の85%が間伐材でつくられたエコ商品。強度はほぼ木材ボードと同じで、重さは5分の1と軽い。加工も印刷も木に比べて簡単で安い。使用後も再び段ボールの原料にリサイクルされる。

強化段ボールの「リボード」は直角に曲げたり、曲面をつくったり自由に加工できる材料だ(撮影/安井孝之)

 展示ブースの製造から輸送、リサイクルまでに排出するCO2量は、リボード製は木材ボード製に比べて約3分の1に削減できる(カワグチマック工業とりそな総合研究所の試算)。

 川口徹社長は「コロナ後、展示会などのイベントが増え始めた。環境にやさしいリボードの利用を売り込みたい」と意気込む。販促エキスポでも2社の展示ブースでリボードが使われ、じわりと存在感を増している。

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安井孝之

安井孝之

1957年生まれ。日経ビジネス記者を経て88年朝日新聞社に入社。東京、大阪の経済部で経済記事を書き、2005年に企業経営・経済政策担当の編集委員。17年に朝日新聞社を退職、Gemba Lab株式会社を設立。著書に『これからの優良企業』(PHP研究所)などがある。

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