呉美保(お・みぽ 右):1977年、三重県出身。「そこのみにて光輝く」(2014年)が米アカデミー賞の外国語映画賞部門の日本出品作品に選出。ほか代表作に「酒井家のしあわせ」(06年)、「きみはいい子」(15年)など/杏(あん):1986年、東京都出身。近作に映画「劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室」「キングダム 運命の炎」(2023年)など。3児の母。22年からフランスとの2拠点生活。YouTubeチャンネル「杏/anne TOKYO」も開設(撮影/篠塚ようこ)
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 世界を代表する監督&俳優が七つの物語を紡いだ「私たちの声」。日本から参加した呉美保監督と俳優の杏さんに「リアルなワーママの声」を語ってもらった。AERA2023年9月4日号より。

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――「女性の地位向上」をテーマとする非営利映画制作会社「ウィー・ドゥ・イット・トゥギャザー(WDIT)」が企画した「私たちの声」。「映画、芸術、メディアを通して女性を勇気づける」趣旨に賛同した監督&俳優が日本、アメリカ、イタリア、インドを舞台に短編を制作。日本からは国際的に評価され、2児の母でもある呉美保監督に白羽の矢が立った。

呉美保(以下、呉):8年前に上の子を出産してから「長編映画なんて作れるわけがない」と、ずっと撮っていなかったんです。企画とテーマを聞いたときに、自分が「作れるわけがない」とずっとモヤモヤしている、まさにそのことがテーマなんじゃないか!?と思い、ぜひ参加させていただきたいと思いました。

杏:監督から「同じ母親である人に演じてもらいたい」とおっしゃっていただき、参加できて嬉しいです。撮影中もお互い「お母さん」をやりつつ参加できる優しいスケジュールを組んでいただけましたし、うちの上の二人が監督のお子さんと年齢が近いので、撮影の合間もけっこう育児トークをしましたよね。

呉:そうそう(笑)。

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