環境ビジネスで会社を大きく変える中小企業がある。生き残り策を考え、SDGsにたどり着いた。「正しい仕事」で稼いでみせる。AERA 2023年9月4日号より。
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「木を伐るのは、自然破壊?」
8月6日、大阪・梅田の阪急百貨店で「HANKYUこどもカレッジ」が開かれていた。約100人の子ども連れの家族に森のエコサイクルを教えているのは丸紅木材(本社・大阪市)の女性社員たちだ。
冒頭の問いかけの答えは「自然破壊ではない」が正解。植林から50~60年で伐採・植林し、再び間伐しながら森を育てると山が元気になり、CO2の吸収量も増えていく。
まさにSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みだ。しかし今の日本には荒れ果てた山が多く、木が伐採されずに放置されている。そんな環境教育の一コマだ。
丸紅木材は社員24人の中小企業。1948年の創業以来、東南アジアから木材を輸入販売してきた木材商社だった。大手商社の丸紅とは縁もゆかりもない。戦後の高度成長のお陰で稼いだが、今では国内のヒノキを使った木製玩具・家具、木製ノベルティー商品などを手がける会社に変わろうとしている。
商品のブランド名は「IKONIH(アイコニー)」と名付けた。今では日本だけで伐採される「ヒノキ」のローマ字表記を逆さまにした。日本の山にしかないヒノキにこだわり、日本ブランドとして、世界に打って出ていくという思いを込めた。
清水文孝社長は「僕たちしかやらないことを事業にしてきた結果です」と言う。祖父が創業した丸紅木材を5代目社長として継いだのは2006年、清水社長が27歳の時だった。
清水社長は中卒ですぐに建設現場で働いたが、17歳の時に丸紅木材から入社するよう声がかかった。
創業家出身だったが特別扱いはされず、熊本県にあった九州支店で現場仕事や営業に従事した。