その頃から「木材を輸入し、国内で売るビジネスに持続可能性はないのではないか」と思い始めた。熱帯地域の森林は大量伐採で減少し、地球環境保護を求める声は高まっていた。木材輸入ビジネスの持続可能性には黄信号が灯っていた。

 九州時代に早くも営業成績が社内トップとなり新規の中国事業を提案する。中国で植林されているポプラを中国で加工・プレカットし、輸入する事業だ。成長が早く10年以内に大きく育つポプラの事業は持続可能性があるとみたからだ。

 本業の輸入事業は年々厳しくなり、社長就任時には7期連続の赤字に陥った。倒産の瀬戸際だった会社のかじ取りを当時係長の清水社長は引き受けた。

 中国でのポプラ事業は南洋材の輸入にどっぷり浸かっていた古手の社員から「儲からない」と言われながらも、「なぜポプラなのか」を世界の林業事情や地球環境保護を解説したパンフレットを作り、ポプラを売り歩いた。

 古手の社員は辞めていったが、新しく入った社員がポプラ事業に惚れ込んだ。社長就任から17年目の今、ポプラ事業の売上高は約50億円に育ち、大きな柱になった。

「一本の木を使い切る」新企画はすべて社員が立案

 もう一つの柱に育ちつつあるのが「IKONIH」事業だ。15年に本の友人から1枚の写真がスマホに送られてきた。木質バイオマス発電用に切り出されたヒノキの写真だった。メッセージが添えられていた。

「燃やすのはもったいない。何かに使えないのか?」

 早速、熊本の山を見た。曲がった木や根っこ、枝などは放置され、山は荒れ果てていた。輸入材は扱っていたが国内の現状は知らなかった。

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