また、子どもから話を聞くだけでなく、他の人に相談したり話を聞いたりすることでわかってくることもあります。例えば、担任の先生、元担任、保健の先生、友達、友達の親、児童クラブや塾や習い事の先生などです。これらの人たちと相談して問題解決をはかることが必要になったら、子どものためにも果敢に行動しましょう。

 このように理由を探ったり問題解決のために行動したりすることも大事ですが、理由が複合的だったり本人にもわからない部分もあったりするので、これもなかなか難しい面もあります。ですから、まずはとにかく子どもの気持ちを最優先にして、少しでも安らかな気持ちで過ごせるようにしてあげてください。

 親のほうには「何とか学校に行かせなければ」という気持ちがあると思いますが、「登校ありき」の態度で臨むと子どもは苦しくなりますし、その後の選択肢も非常に狭くなってしまいます。

大事なのは子どもが幸せな人生を送ること

 以前は学校に行くのが当然という価値観が支配的でしたが、社会の大きな変化によりすでに不登校も選択肢の一つになっています。そもそも学校へ行くことは子どもが幸せな人生を送れるようにするための一つの手段であり、それ自体が目的なのではありません。手段が目的になってしまうのは本末転倒で、それによって不必要に苦しむことになります。

 繰り返しますが、大事なのは子どもが幸せな人生を送ることです。そのためには、今無理に登校するよりも家で安らかな気持ちで充実した時間を過ごせるようにしてあげたほうがいいという選択はあって当然です。そして、ICTの発達や価値観の変化でそれが可能な時代になってきてもいるのです。

 オンラインで学べるサービスやフリースクールもたくさんあります。それらを活用すれば、学校に行くよりもかえって個別最適化された学びができます。つまり、自分に合った内容を自分に合った方法で自分に合ったペースで効果的に学べるということです。個別最適化は学力を上げるためにとても大事なことなのですが、日本の学校は一人の先生による大人数一斉授業なのでできないのです。

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