夏の甲子園で大きな話題となった慶応高校の応援歌「若き血」。高校日本代表に丸田湊斗選手が選ばれたせいか、壮行試合が行われた東京ドームにも鳴り響いた。これまでに見たことのないような大人数による大音量と、肩を組んでの横揺れ応援は、その後いろいろと議論にもなったが、あれだけの一体感や母校愛はどこからくるのだろうか。慶応史に詳しい慶応義塾福澤研究センターの都倉武之准教授に話を聞いた。
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――試合で点が入るたびに「若き血」が甲子園で大合唱されていました。
慶応ではなにか集まりがあると、よく「若き血」が歌われ、肩を組むことも多いです。慶応出身であれば、ほとんどの人が歌うことができるはずでは。なぜあんな甲子園での大応援ができたかというと、誰しもが歌えるからです。校歌にあたる「塾歌」は長いので全部は歌えない人ばかりだと思いますが、「若き血」は単純なくり返しで、ずっと変わっていないことが要因の一つではないでしょうか。
――甲子園に集まろうといった三田会の大きな呼びかけなどはあったのでしょうか。
動員はまったくありません。卒業生が自ら足を運んできたのです。慶応のちょっと特殊なところは、卒業しても自分が慶応義塾の一員、当事者だという意識が広くあるところです。他人事じゃない。