ご存じの通り、慶応は幼稚舎からあり、一度入学すればそのままエスカレーターで大学まで上がります。高校から慶応、大学から慶応、とさまざまな経歴の卒業生がいることは確かですし、高校も複数ありますが、どちらかというと「同じ慶応」という意識が強いと思います。球場でも慶応高校以外の高校生がたくさん応援していたはずです。入学したてのときは内部・外部ということが確かに話題になりますが、大学を卒業すると名札に書かれるのは卒業年と学部で、幼稚舎からか大学からか、などは聞かないとわかりませんし、あまり聞きません。 

 「社中」という慶応義塾の独特の考え方が根付いているのは確かだと思います。社中とは慶応義塾に関係する人々を一つのコミュニティーとしてみるもので、在学中も卒業後も生涯慶応の仲間という意識です。何か重要な機会があれば、自発的に支え合うことが習慣化しており、寄付などもその精神から行われます。SNSを見ても、何人ものOBの知人が有給休暇を取って全国から駆けつけたりしていました。 

――今回の慶応の応援には、賛否両論があります。 

 断片的な情報で色々なことが言われているように感じます。慶応が応援する際には、慶応の応援指導部員が指揮をとります。「応援部」や「応援団」と呼ぶのが普通ですが、応援する人は来場したみんなで、それを「指導」するという部です。日々、早慶戦など神宮球場で応援に来た人を広く巻き込んで応援をまとめる役割をしています。同時にこの場面は静かにする、など場に合わせた行動を取ることを勉強しています。例えば、タイムがかかったときは応援を止めるなどのマナーを守っていたのも、彼らが声出しをしながらも、グラウンドに注意を払う訓練を積んでいるからです。相手校に対するリスペクトは応援に当たって非常に大切にされています。

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「都の西北」の大合唱に対抗できる歌が慶応にはない