――慶応は酔っている時に校歌は歌わないとも聞きます。
そうですね。校歌である「塾歌」はお酒を飲んで歌わないというのが暗黙のルールです。三田会のパーティーで歌うときも、必ず最初に歌われ、締めが「若き血」です。
――最後に先生にとって、慶応・三田会とはどんな組織でしょうか。
「三田会」は、ベタベタした鼻につく集団だと考えられがちですが、さっぱりしたものですよ。今回の応援もそうなのですが、みんな普段は全然違うことをしている人がバラバラに集まってきて、学校を思い出して色々な人と交流を楽しんで、またバラバラに社会に散って頑張ろうと思う。バラバラな人の集合を楽しむ集まりかもしれません。普段からベタベタしているのはむしろ格好悪いと思っている人が多い。
「慶応」の後輩が頑張っているし、エンジョイ・ベースボールの理念にも共感できる、そう思えば自然に集まって応援する。誰に言われたからでも無いし、ただ自分で行きたいと思って行っている。その無邪気な感じが、また伝統的な甲子園の姿と違っているのではないでしょうか。
(聞き手、まとめ/AERA dot.編集部・板垣聡旨)