福岡県の自治体に対してネットメディアの代表者が公共事業の事業者選定などの情報公開請求をしたところ、当時の総務大臣だった武田良太衆院議員の秘書が代表者に連絡をして、「(大臣が)気にしています」「なかったことにしてほしい」などと圧力をかけていた疑いが明らかになった。個人情報として守られるべき情報公開請求の情報が、外部に漏洩した問題もある。
情報公開請求をしたのは、福岡を拠点とするニュースサイト「ハンター」の代表、中願寺純則氏。
中願寺氏は、福岡県の田川町や大任町の行政に関する問題点を鋭く指摘する記事を執筆してきた。その過程で、大任町の「道の駅」や田川市の「ごみ収集」事業者の選定について、「納得がいかない」という内容の情報が寄せられた。
このため、中願寺氏は2021年6月、田川市に「一般廃棄物収集運搬業務委託」の事業者選定に関する文書、大任町に過去5年間に発注した工事の入札結果表や大任町汚泥再生処理センター整備事業及びごみ処理施設整備事業の関連文書、また二場公人・田川市長(当時)と永原譲二・大任町長の選挙運動費用収支報告書の情報公開を請求した。
秘書から「情報公開しています?」
すると、請求翌日の6月15日、顔なじみでもあった武田氏のS秘書から中願寺氏に電話があった。武田氏は当時の総務大臣で、田川市や大任町を含む福岡11区選出の自民党衆院議員だ。
中願寺氏と秘書のS氏のやりとりは以下の通りだった。
中願寺氏「おおSさん、どうもどうも」
S氏「お元気ですか? 今日電話したのはちょっと、別件なんですが、うちの選挙区の大任町に情報公開しています?」