2015年4月20日は二十四節気の「穀雨(こくう)」です。読んで字のごとく、五穀豊穣もたらす雨、という意味があります。
しかし、それだけでしょうか。春の雨がもたらすものと、この時期の楽しみとは…。

穀雨(こくう)になったら、そろそろ…

二十四節気における春は、立春(りっしゅん)に始まり、穀雨(こくう)で終わりを告げます。
農耕民族である私たち日本人の祖は、この時期になると田植えの準備に取り掛かりました。雪が解け、様々な命が吹き返し、草花が順々に咲き、鳥が渡り…春はすっかり次の命を育む(はぐくむ)用意ができたころ、そんな時期が「穀雨(こくう)」であり、穀物を育てるために降る雨、と言われています。別の言い方に「瑞雨(ずいう)」を同じ意味です。また、草木(くさき)をうるおす雨を「甘雨(かんう)と言います。どれも、命を育む雨を敬って呼ばれた言葉ですね。
街路樹には、花水木(はなみずき)も咲き始め、桜が散った空を埋めてくれるようです。

七十二候の初候は「葭始めて生ず(あしはじめてしょうず)」そして…

草木の生育と言えば、山野(さんや)だけでなく、水辺の草も新しい緑を見せ始めてくれます。
穀雨(こくう)の七十二候・初候(4/20~24)は「葭始めて生ず(あしはじめてしょうず)」と言い、水辺の葭(あし)がすっくと姿をあらわし始めます。その姿は日々高くなり、太陽へとどけと言わんばかりの成長を見せてくれます。
次候(4/25~29)は「霜止んで苗出ず(しもやんでなえいず)」。この頃になると、霜の覆いも取ることができ、稲の苗も元気な姿を現します。

そして、穀雨の七十二候・末候は「牡丹華咲く(ぼたんはなさく)」です。『立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合の花(ゆりのはな)』と、美しい女性を例える言葉がありますが、牡丹は、一輪だけでも絵になる、艶やか(あでやか)な姿で人の目を引き付ける花と言えるでしょう。リビングなど、現代の生活にも合う季節の花としてお勧めです。
桜が散るとまるで春が終わったような気分になる方も多いかもしれませんが、花の楽しみはまだまだこれからです。そして、春なのにまた雨が…と思いそうになったら、これも実りの季節に必要な命の水なのだ…と、言い聞かせてみませんか?

参考文献
日本の七十二候を楽しむ~旧暦のある暮らし
俳句歳時記 春