森永製菓R&Dセンターの壁に飾られた過去の自社商品のパッケージ。階段の片側は正面のプロジェクター映像の観覧席になっている(写真:オフィス・ラボ提供)

働き手不足が背景

 快適なオフィスのニーズは地方でも高まっている。

 オフィス・ラボが今年施工した栃木県内の電気・機械設備会社には、おしゃれなライトを吊るしたカフェスタイルの食堂・多目的ホールのほか、昭和のスナックをイメージしたソファとガラステーブルを配したバー・ラウンジスペースも。福島県内の表面処理加工会社の工場内にある多目的ホール(食堂・休憩エリア)には、デンマークから輸入した革張りの高級ソファを配置している。

 こうした背景には働き手不足がある、と土井さんは言う。

「郊外の工業地帯などでは、隣接する工場との間で待遇差による働き手の行き来が生じる『人材獲得のロス』が起きています。時給に加え、働きやすさや居心地の良さで従業員の心をつかもうとする企業側の意識が高まっていると感じます」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年8月28日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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