芳賀さんは、その当時の様子を、こう振り返っていた。
「浩宮さまは、小難しい用語は使わず、わかりやすく、いつも正確で美しい日本語を話された。ご両親は浩宮さまたちを慈しみ、熱心に教え導かれた」
また、芳賀さんは当時皇太子だった陛下に、都内で開かれた水に関する国際的な学会での講演を依頼したことがあった。陛下は英語で約30分間の講演をしたが、芳賀さんが驚いたのは語学力ではなかった。
「感心したのは、特定の人間と目を合わせることはしないが、会場に居合わせた人びとがみんな『皇太子さま(天皇陛下)は、私を見ている』と感激するような目線、振る舞いを終始徹底されていたことです。これが帝王学なのかと実感しました」
言葉を使いこなすだけでなく、視線もふくめた振る舞いで、相手とコミュニケーションを図る。天皇陛下の徹底ぶりがうかがえる。
(AERA dot.編集部・永井貴子)