OPEN HUB Parkのエントランスで来訪者を出迎えるデジタルヒューマン。多様性を体現する施設のシンボル的役割を担う(撮影/伊ケ崎忍)
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 デザインや機能面で「居心地のよいオフィス」を模索する企業の動きが広がっている。ハンモックや香りの演出も。その意図は。AERA2023年8月28日号より。

【写真】NTTコミュニケーションズ従業員の執務スペース「Live Office」

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 東京・大手町のNTTコミュニケーションズ。本社オフィスの一角にある「OPEN HUB Park」はNTTグループのみならずパートナー企業のエキスパートが集い、最先端のインフラ・テクノロジーについて議論を交わす「共創スペース」として昨年2月に開設された。

「くつろいだ雰囲気の中で対話が始まり、予想もしない議論の展開の結果、ゼロから1を生み出す瞬間。そんな企業同士の『共創』を生むのに最適な空間をイメージしています」

 こう話すのは運営を担当する平川亜希子さんだ。リモートワークが普及する中、あえて「リアルで会いたくなる場」や「雑談や話題が広がりそうな場」を追求したオフィスとして注目されている。

 エントランスに立った瞬間、非日常的な感覚を呼び覚まされる。高さ2メートルの屏風のようなデザインのLEDモニターが7台並ぶ。名称は「モノリス」。映画「2001年宇宙の旅」のひとコマを彷彿させる近未来感が漂うモニターの中にいるのは「CONN」(コン)と命名されたデジタルヒューマンだ。モニター間を移動しながら表情豊かに施設のコンセプトを説明し、来訪者を心地よくオフィスへ導く。OPEN HUBに在籍する9人の特徴を合成したコンは、多様性を体現する施設のシンボル的役割を担っている。

 オフィスには他にも、メタバースやロボティクス、GX(グリーントランスフォーメーション)などの実装品を展示。最先端技術を体感してもらい、「この先にどんな未来が描けるのか」という議論を喚起するのが狙いだ。

 窓際にはハンモックも設置されている。「ディスカッションだけでなく、一人で思索にふける時間も確保してもらいたい」(平川さん)との思いからだ。

 見逃せないのはフロアに漂う香りの演出。エントランス付近に漂うのは、スモークウッドの甘い香り。奥の会議スペースに移動すると、芝生の上に寝転んだようなフレッシュなグリーンの香りが漂う。まさに五感を刺激するオフィス空間だ。

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