僕は自分に仕掛けられたものをキャッチして、リリースするだけで精一杯でした。テンパって「勝太」ではなく「岸」が出ている瞬間も多々あったと思う。それでもカットがかかったあと、瑠東監督の笑い声が聞こえてきたり、「めっちゃ良かった」と褒めていただいたりすると、本当に嬉しくなって「あの笑顔をまた引き出したい」という思いが、頑張るモチベーションにもなりました。
ただ、笑いの絶えない現場ではありましたけど、家に帰ったら、毎日、今まで感じたことのない不思議なジャンルの疲れがドーンと来るんです。アクションシーンで体が疲れているのは分かるんだけど、脳みそが疲れるとこんな感じになるんだという、新感覚も味わいました。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2023年8月28日号より抜粋