坂本花織

 一方、世界選手権2連覇中の坂本がバトル氏に振付を依頼したショートでは、清塚信也氏が作曲した『Baby, God Bless You』を使う。産婦人科医が主人公のドラマ『コウノドリ』のテーマである曲を選んだ背景には、生まれたばかりの甥と姪への坂本の思いがある。

 このプログラムを初披露した8月のげんさんサマーカップで、テレビ局の取材に応じた坂本は次のように語っている。

「今年の1月と3月に姪っ子と甥っ子が生まれて、それがすごく嬉しくて。もう毎日のように写真を見返したり……お姉ちゃんから『今日の姪っ子、甥っ子』みたいな感じで、LINEで動画や写真をくれるので、それがすごく力になる。『この力を演技に変えたい』と思って、今年初めて自分でやりたい曲をやりました」

 大きなジャンプを持つ坂本は力強いスケーターだが、『Baby, God Bless You』では一蹴りが伸びるスケーティングで柔らかい曲調を表現しており、新鮮な印象がある。げんさんサマーカップでは最初の見どころとなるはずのダブルアクセルの着氷が乱れ、演技を終えた坂本は渋い表情をしていた。しかし新たな雰囲気のプログラムへの挑戦を厭わない坂本は、シーズン初めは苦戦しながらも終盤の大舞台では完成形を披露する戦いぶりを見せてきた。今季もシーズンが深まるにつれ、プログラムを磨き上げていくだろう。

 バトル氏のインスタグラムには、坂本と肩を組んだ写真に続いて三原とVサインをしている写真が投稿されている。バトル氏の美しい振付を、三原と坂本は今季を通して自分のものにしていく。(文・沢田聡子)

沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」
 

暮らしとモノ班 for promotion
【Amazonブラックフライデー】先行セール開催中(28日23:59まで)。目玉商品50選、お得なキャンペーンも!