かつて私も、クラブ(古くはディスコ)のステージ・お立ち台を主な仕事場にしていました。ダンスフロアがある種の「無法地帯」と化す光景は散々目にしてきたものです。客の大半は「酔っ払い」であり、彼らの行儀や振舞いを裁き、あしらい、窘(たしな)めることも仕事のひとつでした。
男女を問わず、フロアから手を伸ばし脚を触ってくる人、ドレスの裾を引っ張る人、スカートをめくる人、スカートの中に手を入れてくる人、酒をかけてくる人、物を投げてくる人など、枚挙に暇はなく……。
フロアに下りれば、汗だくの体で抱きついてくる人、ウィッグを取ろうとする人、御多分に漏れず胸を触ってくる人、尻や股間を揉んでくる人、時には自分の胸や股間を擦り付けてくる人(主に女性)などもいました。彼らを正当化するつもりはありませんが、当時はそれらをひっくるめて「クラブで仕事をする」ということだったように思います。
無論、こちらはドラァグクイーン(女装者)ですから、彼らの行動に性的な意味合いや目的はなく、ほとんどが悪ふざけ・悪ノリであり、今回の女性DJのセクハラケースとは大きく異なるわけですが、果たして本当に「異なる」ものなのでしょうか?