オールスターに出場した中日の細川成也
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 中日は低迷が続いているが若手選手の成長からは確かな光を感じる。しかし主力に“近い将来”の移籍が噂されている選手も少なくない。そういった意味でも、早い段階で戦えるチームを作り上げる必要性があるだろう。

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 お盆真っ最中の8月13日の広島戦(バンテリンドーム)、試合内容と結果に溜飲が下がった竜党は多かったはずだ。先発の柳裕也は勝敗こそつかなかったものの、9回までノーヒットノーランの快投を演じ、延長10回裏に石川昂弥と宇佐見真吾の本塁打でサヨナラ勝ちを収めた。

「ドーム内の歓声でベンチ裏でも会話ができないほど。生え抜きの柳と石川、シーズン途中で移籍してきた宇佐見が結果を出した。選手の頑張りはもちろん、今まで色々言われた補強と育成に関して1つの結果が出た。フロント、現場が改めて1つになるきっかけになりそう」(中日関係者)

 この試合で勝利の立役者となった4年目の石川、今季途中のトレードで加入の宇佐美を含め、中日には“計算できる選手”も増えつつある。生え抜きの野手では連続試合安打を継続中の岡林勇希、龍空、ルーキーの村松開人、福永裕基、投手ではWBCでも活躍した21歳の高橋宏斗が既にエース級の存在感を示している。

「中日編成部はしっかりやっている。根尾昂が活躍できないので機能していない印象があるが、投手、野手ともに20代前半の素晴らしい素材は揃えている。若手選手は何かのきっかけがあればいきなり覚醒する。あとは選手本人と監督コーチなど現場が頑張るしかない」(在京球団編成部)

 2018年ドラフトで4球団競合の末に入団した根尾は、毎年飛躍が期待されながら伸び悩んでいるが、先述のように他の有望株たちは徐々に戦力になりそうな雰囲気もある。また、他チームからトレードなどで獲得した選手もしっかりと役割を果たしている。宇佐美とともにトレード加入の中継ぎ左腕・齋藤綱記も、移籍以来15試合連続で無失点を記録中だ。

「他球団で出場機会に恵まれていない選手を見出すのも上手い。宇佐見だけでなく現役ドラフトでDeNAから獲得した細川成也はクリーンアップへ定着した。再生工場と呼んでも良いほどだ」(中日担当記者)

 若手選手の成長と移籍組の活躍。最下位低迷中だけに評価されることも少ないが、現在の中日編成部はかなり“やり手”という声もある。

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中日に必要な“未来”への動き