春の訪れとともに雪解けを待っていた植物が芽を出す季節となりました。
一年を24に分けた期間を表す二十四節気では4月5日頃を“清明”と呼びます。
清明とは「すべてのものが清らかで生き生きとするころ」(※)と言われています。
この清明の季節にちなんで、沖縄では「清明祭」という伝統行事があるのをご存じですか? 先祖を供養する「お盆」のような行事ですが、見慣れない人にとってはちょっと不思議な光景かも……。
沖縄独特の文化「清明祭」とは、一体どんな祭りなのでしょうか?

石垣島に実在する豪華な唐人墓。「清明祭」はこうした墓前で賑やかに行われる伝統行事
石垣島に実在する豪華な唐人墓。「清明祭」はこうした墓前で賑やかに行われる伝統行事

中国から伝わった清明祭

「清明祭」は元々、中国の祭りで18世紀に首里王朝があった時代に沖縄に伝わったとされています。沖縄の方言では清明は「シーミー」と発音されます。
二十四節気の清明が終わると雨が多くなるので、雨の量が増える前に先祖のお墓をきれいにしたり、お供え物をあげたり……という伝統が中国には存在していました。一年間、雨風にさらされたお墓をきれいにするのには最も適した季節ということなのでしょう。

清明祭は何をやるの?

この中国の伝統的行事は沖縄に伝わり、沖縄ならではの文化と相まって独自の祭りとなり浸透していきました。清明の時期には、親戚一同が先祖の墓前に集まります。お線香やお花を供えるのは、ごく普通の墓参りと同じですが、清明祭では“重箱”をお供えするのです。

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