1912年、12種類の桜の苗木は再び横浜港を出発し、アメリカ西海岸のシアトルに到着、そこから冷蔵貨車で大陸を横断してワシントンへと届けられました。検疫検査の結果ですべての苗木が健康であることが確認され、ようやく植樹できるようになりました。

桜が届いた翌日の3月27日、植樹の式典が行われ、タフト夫人らが植樹を行いました。この木は今でも根づいていて、これが最初の桜の木であることが銘板に示されています。アメリカ政府はこのお礼としてハナミズキの木を日本へと贈り、日比谷公園などに植えられました。

翌1913年から1920年にかけて寄贈された桜のうち、約1800本のソメイヨシノがタイダルベイスン周辺に植えられ、残りの11種類と残りのソメイヨシノは東ポトマック公園に植えられました。

桜が満開のジェファーソン記念堂。桜が水面に映える。
桜が満開のジェファーソン記念堂。桜が水面に映える。

「全米桜祭り」のルーツは、桜の木が伐採されるのを反対する集会

ワシントンで毎年開催される「全米桜祭り」ですが、最初の桜祭りは1935年、市民団体などの主催で行われ、それから毎年開催されるようになりました。
1938年、ジェファーソン記念館を建てる用地を確保するため桜を伐採するとの計画が持ち上がりました。しかし、女性グループらが反対、人間の鎖で計画予定地を封鎖し、桜が伐採されるのを阻止しました。そしてこの問題は、タイダルベイスンの南の岸に、より多くの桜を植えることを条件に妥協され、さらに多くの桜が植えられるとともに、1940年代ころから桜祭りの催しものが始まりました。

住宅街にも桜が植えられている。
住宅街にも桜が植えられている。

さらに多くの桜を寄贈。桜の手入れ、植え替え、植樹…、ワシントンで大切にされる桜

1965年、日本はさらに3800本のソメイヨシノを寄贈、この桜はアメリカで育てられ、その多くがワシントン記念塔の周辺に植えられました。
1986年から1988年の3年間には、1912年に寄贈された最初の桜の回復のために、アメリカの国立公園局に寄付された101,000ドルを費やして、676本の桜の木が植えられました。
また、1996年、クリントン大統領の訪日を記念して、100本の桜がポトマック川沿いに植樹されました。
こうして、ポトマック公園周辺には8000本以上の桜が植えられ、今ではワシントンは桜の名所となっています。
桜の花見は日本だけの風習だと思いがちですが、ワシントンでは100年以上も前から日本の桜が植えられ、今でも市民に大切にされています。最近は日本ブームで、世界各国から日本を訪れる観光客が増えただけでなく、政府の観光呼び込みの効果もあってか、日本で桜の花見をする外国人の数が増えました。でも、日本以外でも何年も前からお花見文化があり、しかも、桜を100年以上も大事に育てていてくれていたとは、ちょっと感動ものですね。

National City Christian Church。街の中にも桜が。
National City Christian Church。街の中にも桜が。
暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう