――2議員がこう釈明しているが

「観光旅行に行っただけのこと。それを下手に言い訳したから余計に炎上してしまいましたよね。それでも研修だったと言うのであれば、異次元の少子化対策として、子どもに対する予算を拡充するなど、しっかりと制度設計をしたらいい」

――フランスはEUの中でも出生率が高い国です。そこで、ちゃんと学んで来たはずだと

「フランスは90年代前半は出生率が低かった。ですが、政策として子どもと子育てに関する公的支出を増やし(GDPの3・6%、日本はその約半分の1・79%)、出生率が上がりました。日本は、抜本的な改革が必要なんです。議員さんたちはそれを変えることができるお立場なのですから、本気であれば行動で示すでしょう」

国の動きが遅いから市でやった

――明石市は子育てしやすい街として有名になった

「明石市は増税せずに子ども関連の予算を2・4倍にし、対応する職員を3~4倍に増やしました。給付型奨学金も作りましたよ。本来は国がやるべきことですが、国の動きが遅いから市でやったんです」

――なぜ日本はこうなのか。子どもと子育てに関する公的支出はGDPの1・79%で、経済協力開発機構(OECD)平均の2・34%を下回っている

「今の日本に政治はないし、政治家はいません。政治家というのは本来、市民・国民のために使命感を持って政治決断をして、未来を創っていく存在だと思います。いただいた税金や保険料はしっかり価値をつけて市民にお返しするもの。市長時代、そのために知恵を絞って汗をかくよう、職員にも口を酸っぱくして言っていました。国民のために税金を有効に使うという方針転換がいまだにできないのが、日本の現実なのです。フランス研修の旅費だって、税金から出ているという見方もできる。国民からいただいた税金だという感覚が、政治家に欠落しているのです」

(聞き手/AERA dot.編集部・國府田英之)

【前編】大阪・万博を大批判「大きな税金を投じたツケは国民に回ってくる」

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