学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、アメリカでのコミュニケーションの取り方について、30代男性からの質問に答えてくれた。

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Q. 海外留学では、黙っていると置いていかれるといわれます。日本人は当たり障りのない受け答えで本音を語らないことが多いと思いますが、アメリカでは自分の考えをありのまま素直に示すことがやはり大切なのでしょうか。廣津留さんが今振り返って思う、アメリカでのコミュニケーションにおけるベストな姿勢を教えてください。

A. アメリカではコミュニケーションの根底に「人に話してもらったら自分も話す」「何か情報をもらったら自分も何かしら提供したい」という気持ちがあるように思います。そういう意味でも、愛想笑いはやめたほうがいい。よく分からないからと愛想笑いで流そうとすると「この人、本当に自分の話を聞いているのかな?」と思われて、信頼度が下がってしまう気がします。友人同士であっても、聞き取れなかったら「ここが分からないから教えてほしい」と言ったり、相手と異なる意見だとしても自分の考えを伝えたりしたほうが、「自分の話に興味を持っているんだ」と捉えられて印象がいいんですよね。だからこそ、本音で語ったほうが、信頼度は上がると思います。

 また、日本では文化的に使われることの多い「察して」は通じません。すべて言葉にしないと伝わらないので、言語化することに慣れていないと大変ではあります。私も日本では授業で積極的に手を挙げて発言するタイプではなかったので、留学したばかりの頃は、慣れるまでストレスを感じることもありました。

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