チームが低迷すれば、指揮官が矢面に立たされる。立浪監督は今年が3年契約の2年目。一部のファンからは監督交代を望む声が上がっているが、中日を取材するスポーツ紙記者はこう分析する。
「球団フロントは来年も続投させると思います。このタイミングで監督を代えたら、チーム作りにまた時間がかかる。若手の選手たちが芽を出してきていますしね。ただ、昨オフと同様に戦力のテコ入れは断行する可能性が高い。トレードの交換要員になる可能性が高いのが高橋周平、ダヤン・ビシエドです。レギュラーとして活躍していた高橋ですが、今年は若手の台頭でベンチスタートが多い。ビシエドも中日の功労者で3年契約の来年まで契約が残っていますが、今年はファームに2度降格するなど、立浪監督の起用法を見ると評価が高いとは言えない。チャンスが少ないようだったら他球団でのプレーも選択肢として出てくると思います。家族を含めて名古屋が大好きなので、生涯中日でプレーしたい思いはあるでしょうけど……」と語る。
高橋、ビシエドは立浪監督の評価が高い選手だった。高橋は高校時代に世代を代表するスラッガーとして名を轟かせたが、中日入団後は中距離打者に。立浪監督の現役時代の背番号「3」を継承したが、近年は打撃不振が続いている。今年はスタメン出場が25試合のみ。環境を変えることは一考の余地がある。18年に首位打者を獲得するなど日本で実績十分のビシエドは、立浪監督に打撃フォームの修正を求められたが、試行錯誤している印象が否めない。春先に2度のファーム落ちを経験。6月以降はスタメンで出場していたが、8月に入って細川に一塁を明け渡す形になっている。
他球団の編成担当は、「高橋、ビシエドは共に守備能力が高い。特にビシエドはまだまだ活躍できると思います。衰えを指摘する声が聞かれますが、昨年も3割近い打率をマークしているし、未知数の助っ人を獲得するより計算できます。6、7番でポイントゲッターとして期待できる。国内FA権を獲得すれば、日本人選手扱いになるのも魅力です。契約が来年まで残っているので中日が手放さないと思いますが……。トレード要員となれば、複数の球団が名乗りを上げると思います」
中日の最大の補強ポイントは二遊間になるだろう。阿部を昨オフにトレードで出したように、主力選手を出血覚悟で放出しなければ、即戦力の選手を獲得できない。栄光から遠ざかっている中、今年も「嵐のオフ」になる予感が漂っている。(成績は8月2日時点)
(今川秀悟)